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File No.005 「中国の夜行列車は行商列車?」

初めて中国へ出張するときに、事前に中国の諸事情について把握しておきたいと思い、本屋へ足を運びました。色々な書籍があるので迷いましたが、コンパクトに情報がまとめられていて写真やイラストも多く、とても分かりやすいので結局旅行ガイドに決めました。私が選んだそのガイドには中国の列車事情が書かれていました。また列車内の解説イラストが描かれていました。向かい合わせのシートに窮屈そうに座り、大きな荷物があちらこちらに積まれ、通路にも人が座り込んでいるという行商列車のようなインパクトのあるイラストでした。

数週間後にそんなイラストのことなどすっかり忘れて中国へ出発しました。

約1週間の仕事を終え、帰国する日になりました。現地へは空港から車で来たのですが、ドライバーの関係で帰りは夜行列車で空港へ向かうことになりました。列車夜行列車には生まれて初めて乗るので結構嬉しい気分で乗り込みました。しかし、いざ列車に乗ると目の前の光景はなんと旅行ガイドのイラスト(まるで行商列車!)で見たのと同じではありませんか。私が乗った入り口は、指定席(ベッド)までにはいくつかの車両を通らないとたどり着けないところでした。

初夏だというのに冷房も無く、湿気と30度近い空気の中、通路に座り込んでいる人たちにどいてもらいながらスーツケースをガラガラと引っ張って歩くこと10分、やスーツケースっと自分のベッドにたどり着きました。しかし、そのベッドには誰かが寝ているではありませんか。車掌をつかまえチケット見せ、身振り手振りで説明しました。車掌さんは寝ている人を起こし、強い口調で何かを話していました。しばらくしてその寝ている人がどこか別の車両へ移りましたが、温まったベッドはそのままでした。人が温めたベッドのなんともいえない嫌な感じはいまだに忘れられません。


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